2.関東の珍しい苗字

茨城県で上位にランキングされる苗字には、「鈴木」「佐藤」「小林」などがあります。
茨城県の苗字の特徴は、「倉持」「飛田」「寺門(てらかど)」などの苗字が多く、「小島」と書いて「おじま」と読むことなどです。

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茨城県でみかける珍しい苗字には、「百目鬼(どうめき、どめき等)」「朝比奈(あさひな、あひな)」「額田(ぬかだ)」などがあります。

「百目鬼」という苗字は、茨城県や栃木県で見られる苗字で、水の流れる音、馬車が進むときの音に由来するものです。また、「百目鬼」は「百目木」と表記されることもありますが、起源や由来は同じであるとされています。

次に、静岡県にも多く見られる「朝比奈」という苗字が見られます。本来、朝日がよくあたる、明るい土地であることを現わしている苗字ですが、青森県・静岡県にも朝比奈という地名が残されています。

また、「額田」という苗字は、清和源氏・藤原氏を起源に持つ苗字になります。
「ぬかだ」というのは、「ぬかるみのある田んぼ」を意味するもので、田んぼを管理する地方豪族が「額田」という苗字を利用していたのが始まりです。

他にも茨城県には、「斗南(となみ・となん)」「小豆畑(あずきばた)」「川鈴木(かわすずき)」など、珍しい苗字があります。

群馬県で多くある苗字の上位には、「高橋」「小林」「佐藤」「新井」「清水」などがあります。一般に「新井さん」「清水さん」という苗字が上位にくるイメージがないのですが、群馬県には多くあることが確認できます。

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そして、群馬県の珍しいほうの苗字には、「贄田」「築比地」「薊」とありますので、順に確認してみたいと思います。

まず、「贄田」という苗字は、「にえだ」と読みます。大和朝廷の時代に軍事・警察の職に「物部」がありますが、その中の「贄田物部」を祖先に持つ苗字が「贄田」ということになります。
この苗字は、群馬県だけでなく、埼玉県比企郡滑川町などでも見られます。

次に、「築比地(ついひじ)」という苗字は、千葉県北部の「下総国葛飾郡築比地村」が、その起源となります。群馬県でよく見られる苗字ですが、起源となっているのは千葉県の地域名になります。

また、「薊(あざみ)」という苗字は、群馬県だけでなく、埼玉県や東京都でも見られます。薊は、キク科・アザミ属の多年草の総称ですが、紫色の美しい花でもあります。かつて天地天皇が藤原鎌足に苗字として与えたことが起源であると言われています。

このように、苗字は、地名だけでなく、職業が起源となっていたり、かつての天皇が与えたことが起源になることもあります。

埼玉県で上位にランキングされる苗字は、「鈴木」「高橋」「佐藤」など、他の都道府県と同様になります。特徴的なのは、上位に「関根」「新井」「栗原」などの苗字があることです。

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一方、埼玉県らしい、珍しい苗字には「五百扇(いおぎ)」「鯨井(くじらい)」「忍」などがあります。

「五百扇(いおぎ)」という苗字は「五百木」とも表記されるもので、埼玉県を中心に東京都、神奈川県の北部でも見られる苗字です。「五百」は数が多いことを現わし、「扇」は土地の形状を現わすものとされていますが、鳥取県に見られる「五百旗部(いほきべ、いおきべ)」とは異なるものです。

次に、「鯨井」という苗字は、神奈川県北部にあった武蔵国高麗郡鯨井村が起源となるものです。近年、埼玉県に多く見られる苗字ですが、土地の形状が鯨に似ていることが由来となっているものです。

また、「忍」という苗字は、おし、にん、おしみ、おしぬみ、などと読まれる苗字で、東京都、神奈川県でも見られる苗字です。
「忍」は、現在の神奈川県、武蔵国埼玉郡忍庄が起源となる苗字です。
埼玉県には、「五百扇(いおぎ)」「鯨井(くじらい)」「忍」だけでなく、「急式(きゅうしき)」「食堂(じきどう)」「四分一(しぶいち)」などの珍しい苗字もあります。

神奈川県の苗字は、東京都と同じく、際立った特徴は少ないといえます。上位に来る苗字は、「鈴木」「佐藤」「高橋」で、全国的な傾向と変わりません。

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逆に、神奈川県らしい苗字では、「秦野」「土井田」「大仏」をあげることができます。

まず、「秦野(はたの、はだの、たいの等)」という苗字は、相模国餘綾郡波多野村が起源となる苗字です。「野」は、広大な土地を現わすのもので、本来、藤原鎌足が天智天皇に賜ったことで使われ始めた苗字になります。

2つ目の「戸井田」という苗字が武蔵国荏原郡(現在の神奈川県)にあった有名氏族によるものであることは有名です。神奈川県だけでなく、東京都や埼玉県にも多い苗字になります。

そして、最後の「大仏」は、通常、「だいぶつ」ではなく「おさらぎ」と読む苗字です。現在では、神奈川県藤沢市、神奈川県茅ケ崎市に数件しかない苗字になります。
「大仏」は、大仏のような山の形状を現わすもので、北条時政の三男、時房を祖とする苗字です。

また、件数は少ないものの、神奈川県の苗字には、「芥生(あざみ)」「安居院(あぐい)」「若命(わかめ)」「一寸木(ちょっき・ますき)」「三廻部(みくるべ)」など、個性的なものが見られます。

 

千葉県で上位にランキングされる苗字は、「鈴木」「高橋」「佐藤」の順になります。
千葉県も東京都と同じように、他の都道府県からの流入により、際立った特徴は少なくなります。

千葉県に最も関連する苗字は「千葉(ちば)」ですが、下総の国千葉郷(千葉県千葉市)を起源とするものと、肥前国小城郡晴気保(佐賀県小城郡小城町)を起源とするものと2種類あります。

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また、千葉県で見ることができる珍しい苗字には、「蕨(わらび)」「藍(あい)」「伴(ばん)」などがあります。

いずれも1字の苗字ですが、「蕨」は茂原市、山武市などに多く見られる苗字です。しかし、常陸国行方郡蕨村を起源としていますので千葉県ではなく、茨城県にルーツのある苗字となります。

次に、「藍」という苗字についても、現在の兵庫県、摂津国有馬郡藍庄を起源とするものです。東京都や千葉県でみられる珍しい苗字ですが、関西からの流入によるものと考えられています。

最後に、「伴」という苗字は、飛鳥時代の豪族、大伴宿禰(おおとものみゆき)の子孫であると考えられています。千葉県でみられる苗字ですが、これについても愛知県とかかわりの深い苗字になります。

千葉県に関する苗字では、他にも「狼(おおかみ)」「蛸(たこ)」「多部田(たべた)」などがあります。

栃木県の苗字で上位にランキングされているのは、
1位:鈴木
2位:渡辺
3位:佐藤
4位:小林
5位:高橋
の5つになります。一般に「佐藤」という苗字が最も多いとされていますが、栃木県では「鈴木さん」「渡辺さん」が上位に来ているようです。

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逆に、栃木県内で珍しいとされる苗字には、「鯨」「田部田」「三本木」などがあります。

まず、「鯨(くじら)」は、海にいる哺乳類の「鯨」のことですが、栃木県は海のない県ですので、起源は「茨城県下妻市鯨」ではないかとされています。
鯨が乗り上げたことがある浜がある、あるいは、鯨の形に似ている丘があることが、起源ではないかと考えられています。
栃木県内では、河内郡上三川町で「鯨」という苗字が多く見られます。

次に、「田部田(たべた)」さんという苗字も、栃木県でみることができます。
「田部田」という苗字は、栃木県の中でも、足利市に多くあります。
この苗字は、「多部田」と表記することもあるものですが、どちらも千葉県北部の氏族が起源となっているようです。

また、「三本木(さんぼんぎ、さんぼんき、さんもとき、みもとぎ、みほんぎ)」という苗字も珍しいですが、新潟県・福島県でも多く見られる苗字です。
新潟県の「越後国蒲原郡三本木村」という地域名が由来となるもので、天地天皇が藤原鎌足に与えたことが始まりになります。

東京都には全国から人が集まるため、苗字に際立った特徴が少なくなります。上位にランキングされるのも「鈴木」「佐藤」「高橋」と、一般的なものとなります。

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しかし、東京都にちなんだ苗字というものもあり、「十六沢(いざさわ)」「九(いちじく)」「土方(ひじかた)」などの珍しい苗字があります。

「十六沢」は、東京都板橋区から埼玉県新座市にかけて見られる苗字で、全国に数十件しか存在しないものです。
秋田県にも「十六沢」という地名がありますが、こちらは「じゅうろくさわ」と読み、東京都の「十六沢」とは異なるものと考えられています。

次に「九」という苗字は「いちじく」と読む点に特徴があります。詳細は分かっていないそうですが、「一字」の「九」ということで「いちじく」と読むようです。

また、「土方」という苗字は、東京都日野市石田の一族が起源であると考えられています。静岡県掛川市を起源とする「土方」もあり、いくつかのルーツが存在するようです。

他にも東京都では「阿(ほとり、おか)」「葛西(かさい)」「喜多見」「相模(さがみ)」「品川」「立川(たちかわ)」など、東京都、あるいは周辺地域の地域名に由来する苗字を見ることができます。

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