6.中国・四国の珍しい苗字

愛媛県で上位にランキングされる苗字は、「高橋」「村上」「越智」になります。
「越智(おち)」という苗字が珍しく感じますが、神武天皇に仕える饒速日命(にぎはやひのみこと)の子孫、越智国造を祖先に持つものです。

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また、愛媛県に見られる珍しい苗字については、「西園寺(さいおんじ、さいえんじ)」「粂野(くめの)」「斧(おの)」などがあります。

「西園寺」は、藤原氏の流れをくむもの、愛媛県で栄えた西園寺家を祖先とするものの2種類があるとされています。

また、「粂野」の「粂」は「久+米」による国字(中国以外で作られた漢字体の文字)になります。
一般には、あまり収穫量が多くない土地に住む者に与えられた苗字になります。

さらに、「斧(おの)」は愛媛県に多く見られる苗字ですが、本来は、滋賀県の近江国滋賀郡小野村を起源とすると考えられています。
また、他の都道府県でも見られることがありますが、職業を現わす苗字である場合(斧を造っていた)と土地の態様(=小野)を現わす場合とがあります。

他にも、愛媛県には、「明比(あけひ)」「十亀(とき)」「蝶野(ちょうの)」「帽子(ぼうし)」など、数多くの珍しい苗字があります。

岡山県に上位にランキングされている苗字は、「山本」「藤原」「三宅」などになります。
特徴的なのは「三宅」という苗字が3位にランキングされている点で、三河田原城主三宅氏を祖先に持っている苗字になります。

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逆に岡山県で見られる珍しい苗字では、「永幡(ながはた)」「鳥家(とや)」「久保木(くぼき)」などがあります。

「永幡」という苗字は、岡山県美作地区に多く見られますが、美作国勝田郡梶並村の赤松という有名氏族を祖先に持つものです。
「幡」は、本来、仏や菩薩の力を示すための荘厳具として使われる布のことですので、職業に関連した苗字であると推測できます。

また、「鳥家」という苗字についても、「鳥屋」が起源になっていると言われています。岡山県でも勝田郡勝央町を中心に見られる苗字ですが、件数は極めて少なくなります。

「久保木」については、千葉県でも多く見られますが、土地の態様を示す苗字になります。
「窪地」「窪み」のある土地であったことが由来となり、備前を中心に見られるものです。

岡山県では、この3つの苗字以外にも、「十六原(いさはら)」「日外(あくび)」「小銭(こぜに)」「泥(どろ)」など、珍しい苗字を見ることができます。

広島県で上位にランキングされる苗字は、「山本」「藤井」「田中」の順になります。
2位にランキングされている「藤井」という苗字は、中国地方全体で多く見られ、備前国邑久郡藤井(岡山県岡山市)を起源としているものです。

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また、「背戸土井(せとどい)」「後久保(せどくぼ)」「後原(せどはら)」など、「せと・せど」とつく場合が多く、珍しい苗字が多く見られます。

広島県で見られる珍しい苗字では、「中須賀(なかすか・なかすが)」「杉之原(すぎのはら)」「垰田(たおだ・たおた)」などがあります。

「中須賀」は、本来、愛媛県の「伊予国風早郡中須賀村」が起源となる苗字ですが、広島県の安芸地区に多く見られます。

また、「杉之原」は、広島県東部を起源とする苗字ですが、桓武天皇の子孫に関連する姓である、という説もあるようです。
広島県福山市を中心に多く見ることができます。

そして、「垰田」は、島根県・石見の氏族を起源とする苗字ですが、広島県に多く見られる苗字です。「垰」は「峠(とうげ)」を現わしていますので、土地の特徴が苗字になったものと推測できます。

他にも、広島県には「梵(そよぎ)」「茸谷(なばたに)」「風呂中(ふろなか)」など、珍しい苗字を見ることができます。

香川県で多く見られる苗字は、「大西」「田中」「山下」などになります。
「大西」という苗字が最も多くなりますが、本来は徳島県(徳島県三好市池田町)を起源とするものです。
戦国時代に大西頼武に勢いがあり、四国全体に「大西」という苗字が広がったとされています。

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一方、香川県に見られる珍しい苗字は、「木太(きた)」「由佐(ゆさ)」「猪木原(いのきはら、いきはら)」などがあります。

「木太」は、現在の香川県、讃岐国山田郡木太村を起源とする苗字で、香川県全体で見ることができます。

また、「由佐」についても、香川県の「讃岐国香川郡由佐村」を起源とします。足利尊氏の部下である益子下野守顕助の子、弥次郎秀助が香川県に移り住んだのが「由佐」の起源となります。

そして、「猪木原」という苗字は、香川県が発祥となる苗字ですが、猪が多数生息していたことが由来となるものです。

香川県の苗字は、徳島県・愛媛県などと似ているとされていますが、「合田」を「ごうだ」と読んだり、「香西」「玉井」「平尾」姓が多いのも特徴的です。

他にも、「九郎座(くろうざ)」「五所野尾(ごしょのお)」「新茶(しんちゃ)」など、珍しい苗字を見ることができます。

高知県で上位にランキングされる苗字は、「山本」「小松」「山崎」になります。
高知県に「小松」という苗字が多くあるのは、かつて平重盛の長男、平維盛が「小松」を名乗ったことが由来となります。

また、高知県には「西原」という苗字も多くありますが、「にしはら」ではなく「さいばら」と読む点に特徴があります。

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一方、高知県に見られる珍しい苗字に、「海老川(えびかわ)」「美崎(みさき)」「朴木(ほうのき)」などがあります。

「海老川」は、高知県室戸市に多数みられる苗字ですが、高知県以外にも福島県・宮城県・岩手県などにも多く見られるものです。
これは、海老がよくとれる川があることに由来し、その土地の特徴が苗字になっているものです。

また、「美崎」という苗字は、「岬」がある土地を現わすものです。「美崎」という姓は、兵庫県南西部でもよく見られます。

そして、「朴木(ほうのき、そくもく、ぼくぎ等)」は、モクレン科の「ホウノキ」があったことから付けられた苗字です。
高知県だけでなく、三重県や神奈川県北部にも見られるものです。

高知県には、これらの苗字以外にも「甲藤(かっとう)」「一円(いちえん)」「目代(さかんだい)」など珍しいものが多くあります。

山口県に多い苗字には、「山本」「田中」「中村」などがあります。上位にランキングされている苗字に特徴がないように感じますが、5位に「原田」という福岡県糸島氏にルーツに持つ苗字がランキングされている点に特徴があります。

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逆に、山口県でみることができる、珍しい苗字には、「蕗(ふき)」「秋月(あきづき)」「二家本(にかもと)」などがあります。

「蕗」という苗字は、大分県豊後高田市に起源をもつ苗字ですが、大分県だけでなく、山口県にも多く見られます。キク科の多年草である蕗が多く茂っていたことが、この苗字の由来になります。

また、「秋月」という苗字は、山口県ではなく、現在の福岡県「筑前国夜須郡秋月庄」を起源とする苗字です。清和天皇の子孫に見られる苗字であると言われているものです。

そして、「二家本」という苗字は、山口県に多く見られるものです。現在の山口県東部、周防を起源とするものですが、その由来ははっきりとはしていません。
山口県には、「蕗」「秋月」「二家本」以外にも、「馬酔(あせび)」「浴(えき)」「金魚(きんぎょ)」「目(さかん)」「渦巻」「三分一(さんぶいち)」など、珍しい苗字を見ることができます。

鳥取県の苗字では、「田中」「山本」「山根」が上位3位にランキングされます。
「山根」という苗字は珍しいと感じることもありますが、島根県雲南市をルーツにもつ、中国地方に多くある苗字です。

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また、鳥取県で見ることができる、珍しい苗字では、「多久和(たくわ)」「土師(はし、はじ、はぜ等)」「箆津(のず、のづ)」などがあります。

「多久和」という苗字の「多久」は、「栲(たえ)」という布を現わしています。「和」が輪のような形状の土地を現わしていることから、土地の形と職業に由来する苗字であるといえます。
この苗字は鳥取県で多く見られるものですが、一般には、島根県の多久和村が起源であると考えられています。

また、「土師」という苗字は、職業を現わす苗字になります。土器や埴輪(はにわ)の製作をしていた人を意味し、かつて土師部(はじべ)に属していた人についていた苗字になります。

そして、「箆津(のず)」という苗字は、伯耆国八橋郡箆津邑に起源をもつ苗字になります。
矢の竹の部分、矢柄のことを「箆」といいますので、良質の竹が多くとれる地域であったことが由来となります。

他にも、鳥取県の珍しい苗字は、「声高(こえだか)」「見染(みそめ)」など、多数あることが確認できます。

 

島根県に多く見られる苗字は、「田中」「山本」「佐々木」になります。日本では比較的少ない「佐々木」という苗字が含まれていますが、滋賀県蒲生郡安土町にルーツのある苗字です。
「笹」などをイメージすると思いますが、「佐々木」の由来は「酒の器」で「ささき」となります。

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逆に島根県で見られる珍しい苗字には、「吹金原(ふきんばら)」「帯刀(たてわき、おびなた等)」「奈義良(なぎら)」などをあげることができます。

「吹金原」という苗字は、「製鉄」をする「広大な土地」を意味しています。出雲地方は、古くから製鉄が盛んに行われていた地域で、かつて「鉄」を「金」と書いていたことが「吹金原」の由来です。

また、「帯刀」は、鎌倉・室町時代において、将軍が参内・社参をするときに刀を持ってお伴をする仕事からついた苗字です。
「帯刀」は、清和天皇の子孫に多くついている苗字でもあります。

そして、「奈義良」という苗字は、現在の鳥取県、伯耆国が起源となるものです。兵庫県や島根県でも「奈義良」という苗字を見ることができますが、その起源は鳥取県になります。
島根県には、他にも、「欠間(がんま)」「味(あじ)」「印(いん)」などの珍しい苗字を見ることができます。

徳島県らしい苗字といえば、「新居」と書いて「にい」と読んだり、吉野川流域に見られる「板東(下流)」「坂東(上流)」などになります。
他の都道府県と同じように、「佐藤」「吉田」という苗字が多くなりますが、2番目に「近藤」が多いのも特徴的です。

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逆に、徳島県で見られる珍しい苗字には、「大古」「為実(ためざね)」「清(きよ、きよし)」「杣友(そまとも)」などがあります。

「大古(おおこ、おおご)」という苗字は、徳島県で多く見られますが、多子、大胡とともに、和歌山県、あるいは群馬県を起源に持つ苗字です。

「為実」は、徳島県三好郡井川町に集中して見られる苗字ですが、徳島県の阿波が起源であるとされています。

また、「清」は、天武天皇の子孫である清原氏に関係のある苗字です。清原の「原」を略して利用された苗字で、宮崎県の日向地区でも見られるものです。

最後の「杣友(そまとも)」は、大阪府でも見ることができる苗字ですが、「為実」と同じく阿波を起源とするものとなります。

徳島県には、これ以外にも「宇和佐(うわさ)」「折目(おりめ)」「唐桶(からおけ)」など、珍しい苗字が多くあります。
また、全国的に多く見られる「三好」という苗字も、徳島県をルーツに持つ苗字となります。

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